猫はときに“まるで人のような行動”をすることがあります。猫好きとしてはつい擬人化して考えてしまいがちですが、実際のところ、どのような感情から行動しているのでしょうか。
今回は、飼い主さんから寄せられた「人間味あふれる」猫の行動を4つ取り上げ、上智大学総合人間科学部心理学科准教授の齋藤慈子先生に、その行動の意味や理由などについて解説していただきました。
猫も呆然とする? 飼い主さんが見かけた「人間味あふれる」猫の行動の意味を専門家が解説

愛猫に“呆然とした顔”で見つめられました

引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー
「私がかりんとうを食べていると、ウンチと勘違いしたのか呆然とした顔で見つめてきたことがあります」(Rさん)
想定外のことに猫も驚くことが(齋藤先生)
実際のところ、かりんとうをウンチと勘違いしたのかは不明ですが、想定外のことが起こったときは、猫も呆然として対象を凝視することは「ある」ようです。今回の場合、猫にとって予想外のことが起こっている、何かを要求したいがために見つめている、飼い主さんをただ観察しているだけ、などが考えられます。
小さい子どものように、愛猫に“イヤイヤ”されました

引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー
「好みではないゴハンを出すと、愛猫は砂をかく動作をして全力で拒否します。小さな子どもが嫌いなものを食べさせられているときの“イヤイヤ”のような感じに見えます」(Sさん)
砂かけ動作の理由は「ゴハン嫌い」なことも(齋藤先生)
野生の猫には、「貯食行動」という獲物を土の中に埋めて隠す習性があります。ゴハンに砂をかける動作はその名残で、出されたゴハンが嫌い、満腹で食べたくない、食欲がないなどが考えられるでしょう。つまり、猫がイヤイヤをするかどうかの答えは、「する」になります。
愛猫は“思わず立ち上がる”ようなしぐさをします

引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー
「愛猫は『なでてほしい』『かまってほしい』など、お願いしたいことがあるときに、後ろ足で立ってアピールをしてきます」(Nさん)
願いを叶えたくて勢い余って後ろ足立ちになるのでしょう(齋藤先生)
愛猫はおそらくこれまでの経験から、立ち上がると飼い主さんが自分の要求に応えてくれることを学習しているのでしょう。あるいは、視線を高くしないと見たいものが見えない場合にも、自然と後ろ足立ちになることがあります。
つまり、猫も思わず立ち上がることが「ある」ということですね。
食べ物のワードを耳にすると愛猫は“舌なめずり”をします

引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー
「愛猫は『ゴハン』や、大好きなおやつの『テリーヌ』という言葉を聞くだけで、舌なめずりをして近づいてきます」(Mさん)
条件反射で唾液が分泌し、舌なめずりをします(齋藤先生)
猫は簡単な単語を聞き分けることができる動物です。とくに、自分の名前や「ゴハン」「おやつ」など、自分自身の“快”と結びつく言葉は記憶されやすいと考えられています。そのため、「ゴハン」などと聞くと条件反射で唾液が分泌され、思わず舌なめずりをすることは「ある」といえるでしょう。
今回ご紹介した4つの行動は、どれも猫が実際に行うことがわかりました。愛猫の行動を日頃から観察していれば、いつかお目にかかれるかもしれませんね。
お話を伺った先生/齋藤慈子先生(上智大学総合人間科学部心理学科准教授 「CAMP NYAN TOKYO(キャンプ ニャン トウキョウ)」メンバー)
参考/「ねこのきもち」2025年4月号『飼い主さんの目撃談、その真相は… 人間味あふれるあの行動、猫もするの?』
文/東里奈
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。