半砂漠地帯で生活していた猫は水を頻繁に飲まない傾向があるため、しっかり水分補給できるよう飼い主さんが工夫してあげる必要があります。
そこで今回は、水分不足が引き起こす猫の健康トラブルや、猫の水分補給の基本ルールなどについて、獣医師の小林清佳先生に伺いました。
水分不足が引き起こす猫の健康トラブルとは

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体に必要な水分が足りていない脱水状態は、さまざまな不調や病気のもとになります。とくに暑い時期に気をつけたいのは、夏バテや熱中症。また、夏以外でも慢性的な脱水傾向にあることでリスクが高まる病気もあります。
皮膚をつまんだあとの皮膚の戻りが遅い、被毛のツヤがないといった様子があれば脱水症状を疑い、すぐに動物病院を受診しましょう。
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水分不足が続くと尿石症のリスクも
夏以外に注意が必要な病気のひとつが尿石症です。尿石症は、尿中の成分が結晶化して結石ができる病気。猫はもともと、体内の水分を効率よく利用するためにオシッコが濃く、水分が少しでも不足すると、尿石ができやすくなります。発症を予防するためにも、一年を通して充分な水分補給をさせることが大切です。
ここからは、水分不足のリスクを知ったうえで理解しておきたい、猫の飲み水の基本ルールをご紹介します。
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水分補給の基本ルール1:与える水は水道水や浄水でOK

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日本国内では基本的に、水道水をそのまま与えて問題ありません。浄水器を通したものでももちろんOK。猫の好みに合わせてどちらを選んでもよいでしょう。飲み具合などによっては、いろいろな種類の水を試すのも一案です。ただし、ミネラルウォーターに含まれるマグネシウムなどの成分は、尿石症の原因となり得るので、猫にはミネラルウォーターは与えないようにしましょう。
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水分補給の基本ルール2:飲水量の目安は体重1kgあたり50~60mL

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個体差はありますが、成猫の場合、1日に必要とする飲水量の目安は、おおむね体重1kgにつき50~60mLほど。たとえば、体重3kgの猫なら150~180mL程度です。
ただし、これは食事に含まれる水分量も含めた目安なので、飲み水だけでこの量をまかなう必要はありません。
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水分補給の基本ルール3:こまめに入れ替えて水を新鮮な状態を保つ

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水を入れ替えないまま長時間放置することは衛生的におすすめできません。新鮮で清潔な状態を保つため、食器の洗浄と飲み水の交換は、可能な限り頻繁にするようにしましょう。とくに気温の高い夏は、できれば1日に複数回交換を。
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水分補給の基本ルール4:水飲み場は複数カ所に設置

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猫が飲みたいと思ったときにすぐに水が飲めるよう、少なくとも、匹数+1個以上は水飲み場を用意しましょう。万が一ひとつの容器の水がこぼれてしまっても、ほかの場所で水分補給ができるので、留守番中でも安心です。
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とくに夏は日の当たらない場所に設置を
水は温かくなると雑菌が繁殖しやすくなるので、日の当たる窓辺は飲み水を置く場所として適していません。とくに夏場は温度が上がりやすいので、なおさら水の置き場所には注意が必要です。日の当たらない、涼しい場所を選ぶようにしましょう。
猫の飲水量がたりていないと、病気などさまざまなリスクが生じるため、ふだんから飲水量を増やすための対策や工夫をすることが大切です。まずは猫の体質や水分補給における基本ルールを知ったうえで、ふだんの水飲み環境を見直してみましょう。
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お話を伺った先生:小林清佳先生(モノカどうぶつ病院院長)
参考/「ねこのきもち」2025年8月号『ちょっとの仕掛けで、夏も元気に!ゴクゴク ねこの水分補給大作戦』
文/宮下早希
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。
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