災害が起きたときの猫との避難方法は、状況や条件によって異なります。現実的な避難方法をあらかじめ考えておくと、被害を最小限に抑える「減災」につながる訓練や備えについて、具体的なシミュレーションがしやすくなるでしょう。
そこで今回は、災害の状況や条件に合わせた猫との避難方法やその訓練・備えなどについて、専門家の香取章子さんに解説していただきました。
災害発生時の猫との避難方法は? 減災につながる備えや訓練も
災害発生時、どう避難するのがベスト?

引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー
災害が発生したときは、住まいの周辺地域の防災情報をチェックし、家屋倒壊や浸水のおそれがないか、火災などの二次災害の危険がないかを必ず確認しましょう。
そのうえで、「自宅で安全が確保できる」と判断した場合は、自宅避難となります。ただし、猫と自宅避難をする場合も、状況によっては他所への避難の可能性があるので、持ち出し品の準備はしておきましょう。
自宅で過ごすことが難しいときは同行避難を
反対に、「自宅で過ごすことが難しい」と判断した場合は、猫と一緒に最寄りの避難所に移動する同行避難が推奨されています。ただし、猫が隠れてキャリーに入れられないなどの場合は、たっぷりの水とフードを置き、連れ出せない猫を残して避難する判断を。
なお、家屋倒壊や火災発生のおそれがある状況で猫を連れ出せない場合は、猫が自分で逃げられるように小窓などを開けて人だけ避難するしかありません。考えたくないことですが、その場合もたっぷりの水とフードは置いておきましょう。
猫と同行避難するときの注意点

引用元:ねこのきもち投稿写真ギャラリー
猫と同行避難するときは、同伴避難ができるかどうかを確認しましょう。同伴避難とは、同じ避難場所でペットと人が過ごすこと。避難所によっては同伴避難を受け入れていない場合があるので、まずは最寄りの避難所がどこか、そこが同伴避難の受け入れがあるかを確認しておきましょう。
なお、同伴避難ができる場合でも、飼い主さんが過ごす場所で一緒に過ごせるケースや、ペット専用の離れたスペースで過ごさせるケースなど、避難所によってさまざま。基本的に、猫はキャリーケースやケージ内で過ごすことになります。
同伴避難の受け入れがない場合
自宅でも避難所でも猫と過ごすことが難しい場合は、車中のほか、公園などに張ったテントを拠点に避難するケースが。狭いスペースでライフラインが十分でない状況で過ごすことになるので、猫にも人にも負担がかかりやすいでしょう。
自宅以外での避難生活のための訓練をしておくと○

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避難所をはじめ車中泊、テント泊といった自宅以外での猫との避難生活を余儀なくされた場合に備え、少しでもストレスなく安全に過ごせるよう、以下のような訓練をしておくと安心です。
首輪やハーネスを装着する練習をする
首輪に慣れていない猫は、着けるだけで一苦労の場合も。また、ハーネスの装着は複雑なものも多く、初めてではスムーズに装着するのは難しいでしょう。避難先で手こずると猫にも飼い主さんにも負担がかかるので、ふだんから装着する訓練を。
知らない人に慣れさせておく
避難先では、不特定多数の人がいる場所で猫を過ごさせることもあるため、知らない人が苦手な猫には強いストレスに。少しでも負担にならないよう、来客におやつを与えてもらって触れさせるなど、飼い主さん以外の人への免疫をつけておきましょう。
持ち出し用のケージに猫を慣れさせておく
災害時に持ち出すためのケージを用意している場合、その中で過ごすことに慣れていれば、避難先での猫の安心材料に。自宅でも持ち出し用のケージの中で一晩過ごさせるなど、訓練をしておくとよいでしょう。
こんな備えも必要
そのほか、感染症の流行を防ぐため、ワクチン未接種の場合、避難所によっては同伴を断られるケースも。また、はぐれた場合にほかの猫と接触して感染症にかかるリスクや、繁殖する可能性もあるため、ワクチン接種と不妊手術は必須でしょう。
災害は起きるものという前提で、減災につながる訓練や備えをしておくと安心です。ぜひ参考にしてみてくださいね。
お話を伺った先生/香取章子さん(特定非営利活動法人ちよだニャンとなる会業務執行理事 一般社団法人東京都人と動物のきずな福祉協会代表理事 フリーランス・ライター)
参考/「ねこのきもち」2025年9月号『「実際にやってみる」ことで、いざというときの減災につながる! 避難訓練やってみよう!』
文/長谷部サチ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。