温暖な気候、美しい自然、ゆっくりと流れる時間…。そんな魅力あふれる沖縄県ですが、一方で、自然の中で懸命に生きる猫たちが数多くいます。そういった猫を増やさないための対策をはじめ、動物愛護の意識をより広めるために奮闘する「沖縄県動物愛護管理センター」をご紹介します。
※記事内容はすべて2026年2月1日現在のものです。
沖縄全域を担う動物愛護の拠点
沖縄本島南部の東海岸、那覇市から車でおよそ40分。雄大な自然に囲まれ、琉球開闢の神話(琉球国発祥の伝説)が息づく南城市に「沖縄県動物愛護管理センター」(以下、センター)はあります。センターが管轄するのは、宮古・八重山地域を除く沖縄県全域です。
「広いエリアを管轄するには、決して充分な人員とはいえません。そのため、さまざま寄せられる相談も、対応までに時間がかかる場合があります」。そう話してくれたのはセンター職員の今井さん。最近は、2006年から使用している建物や設備の老朽化にも悩まされているそうです。「ここは温暖で湿気が高く、カビが発生しやすい環境です。その影響で、機械類もよく不具合を起こします」
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新しい出会いを生む「ハピアニおきなわ」
そうした状況に少しの変化をもたらしたのが、2022年10月に運用が始まった譲渡推進棟(愛称「ハピアニおきなわ」)です。センターの隣にあった旧衛生環境研究所のハブ研究室が移転となり、空いた建物を再活用した施設で、猫や犬と新たな飼い主との出会いの場であると同時に、しつけや人馴れトレーニング、県民への啓発活動などを実施しています。運営を民間事業者に委託しているため、センター職員の業務軽減にもつながりました。
「譲渡推進棟では、民間事業者がノウハウを活かして、動物愛護思想の普及啓発や正しい飼い方・しつけ教室など、学びの場を提供しています。また、センターは集団管理が基本のため1匹ずつに充分なケアが行き届かないこともありますが、譲渡推進棟では個体管理ができる点もメリットです」
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センターの猫の収容上限は77匹、譲渡推進棟は25匹。その多くが野外で収容された乳飲み猫や子猫、衰弱・負傷した猫で、ほかには飼い主による持ち込みもあります。飼えなくなった猫を、人が集まる行楽地周辺や自然の中に遺棄するケースも少なくないといいます。
収容されている猫のほとんどが4才くらいまでで、シニア猫はほとんどいません。外猫の場合、あまり長生きできないためです。また、飼育放棄による持ち込みは基本的にすべて断っているそうです。「動物を無条件で引き取ってくれる施設だと誤解している人がいますが、『収容動物の生存の機会を可能な限り増やすこと』や『適正飼養や終生飼養の普及啓発』というセンターの役割をしっかり説明します」(今井さん)
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出典/「ねこのきもち」2026年4月号『猫のために何ができるのだろうか』
取材/野中ゆみ
※この記事で使用している画像は2026年4月号『猫のために何ができるのだろうか』に掲載しているものです。
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