長年待ち望まれていた腎臓病の猫に対する新薬・AIM猫薬「FeliAIM(フェリエイム)」がいよいよ実用間近に。腎臓病で亡くならなくなれば、猫の寿命が飛躍的に延びることが期待されています。
そんなAIM猫薬の研究・開発を手掛けたのが、医師でAIM医学研究所代表の宮﨑徹先生です。今回は、AIM猫薬に関する疑問を5つ取り上げ、宮﨑先生にお答えいただきました。
腎臓病の猫の健康寿命を延ばす「AIM猫薬」が実用化間近に! 気になる疑問を開発者に聞いた
Q1. AIM猫薬とはどのような薬ですか?

A1. AIMは血液中に存在するたんぱく質で、腎臓に蓄積する老廃物(ゴミ)に付着し、マクロファジー(掃除する役割をもつ免疫細胞)に「このゴミを掃除(除去)して」と伝えるゴミ収集シールの役割を果たします。ところが、猫は先天的にAIMをうまく老廃物に付着させられないため、老廃物が除去されずに腎臓にたまりやすく、多くの猫が腎臓病にかかることに。
AIM猫薬は、正常に機能するAIMを薬にしたもので、投与することでそれを外部から補います。こうすることで「シール貼り」の機能が働き、腎臓にたまった老廃物の除去を促して、機能悪化を防ぐのです。
Q2. AIM猫薬を使った治療のプロセスを教えてください

A2. 動物病院での静脈注射(点滴)によって投与します。回数や頻度は腎臓病の容体によりますが、治験の場合ですと、あと半年程度で末期的なステージに進むと予測される腎臓病の猫に、2mgのAIM猫薬を2週間おきに6回注射しました。
基本的にその後は経過を観察するだけですが、放っておくとまた老廃物がたまって腎臓病になってしまうので、その後は年に1~2回ほどAIM猫薬を投与して、予防的に老廃物の除去を繰り返すと、腎臓病を再発せずに元気に過ごせるようになるだろうと考えています。
Q3. AIM猫薬に副作用はありますか?

A3. 今のところ、副作用と思われるものは見られていません。先述のとおり、AIMはもともと体内にあるもので異物ではないため、拒絶反応のような症状はあらわれないのです。
仮に必要以上に投与した場合でも、尿に混じってすぐに排出されるので悪さをしません。そういった点でも安心して使用できるといえるでしょう。
Q4. 治療費は高額になるのでしょうか?

A4. AIM猫薬のようなたんぱく質の薬は、化学合成ではないので大量生産ができず、少量の生産でも膨大な時間とコストがかかります。同じつくり方の人の薬だと何百万という薬価になるのですが、多くの飼い主さんの応援によって完成したAIM猫薬は、そのような価格設定にしたくないと考えています。
飼い主さんの経済的な負担にならない価格設定を前提に、効率的な生産態勢や企業との連携などを模索しているところです。
Q5. 一般的な動物病院でもAIM猫薬を使った治療は受けられますか?

A5. お伝えしたように生産量に限りがあるため、実用化からしばらくは需要に対して生産力が追い付かない可能性があります。急ピッチで生産拡大をしたいとは考えていますが、いきなり全国の動物病院に行き渡らせることは、最初のうちは物理的に難しいかもしれません。
ですので、当面は限られた動物病院などで、ある程度数を絞って投与せざるを得ないと予測していますが、できるだけ早く日本中の動物病院に行き渡らせられるように力を尽くしたいと考えています。
「猫30才時代」という新たな未来を切り拓くと期待されているAIM猫薬。今後の動向から目が離せません。
お話を伺った先生/宮﨑徹先生(一般社団法人AIM医学研究所代表理事・所長および株式会社 IAM CAT代表取締役 内科医 医学博士)
写真/「ねこのきもち」2026年7月号『新薬実用化で、猫が腎臓病で亡くならない時代へ。「超ハイシニア」の愛猫と生きる未来が見えてきた! 猫30才時代』
文/長谷部サチ
※記事と写真に関連性がない場合もあります。