猫の聞き慣れない病気は、健康診断だけでは見つけにくい場合も。そういった病気を初期で発見するには、ちょっとした異変を見逃さないことが重要です。今回は、食欲不振やおう吐の症状から思いがけない病気が発覚した飼い主さんの体験談を紹介するとともに、それぞれの病気の特徴を獣医師の山本宗伸先生に解説していただきます。
愛猫が発症して初めて知った病気1.消化管好酸球性硬化性線維増殖症
消化管好酸球性硬化性線維増殖症(しょうかかんこうさんきゅうせいこうかせいせんいぞうしょくしょう)は、消化管に肉芽腫(免疫細胞の小さな塊)を形成して起こります。
白血球の一種である好酸球の強い反応により胃腸の壁が厚くなるため、食物の通りが悪くなり、強いおう吐を起こすことも。治療は免疫抑制剤などの投与が中心になります。
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飼い主さんの体験談「検診時に主治医に相談、その後診断」
「長年、おなかの皮膚疾患で通院していた愛猫。おう吐と軟便が続いていたため、検診時に主治医に相談すると、エコー検査で異常が見つかりました。大学付属動物病院を紹介され、病理組織検査などの結果、『消化管好酸球性硬化性線維増殖症』と診断されました。
悪性腫瘍も疑われたため、そうでないことに安堵。1カ月に1度通院してステロイド剤を投与してもらい、体調は落ち着いています」(三重県 K.Aさん)
愛猫が発症して初めて知った病気2.門脈体循環シャント
食事から吸収された栄養素や、代謝の過程で生産された老廃物(毒素)は、門脈(血管)から肝臓に運ばれます。その血流が血管の異常により、肝臓ではなく全身に流れる病気が門脈体循環(もんみゃくたいじゅんかん)シャントです。
毒素が肝臓で解毒されず体内を巡り、食欲不振や神経症状などが見られます。先天性の場合、外科手術を行うことも。
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飼い主さんの体験談「健康診断で肝臓に問題が見つかりました」
「半年ごとの健康診断で肝臓の数値が上がり、体重減少もあったため、二次診療の動物病院で精密検査を受けました。CT画像を見ながら、『門脈体循環シャント』と病名を告げられたときは、何のことか意味がわかりませんでした。
まだ初期で軽症だったため、投薬をしつつ経過観察をすることに。現在は自宅で皮下輸液などもしています。また、健康診断の際に血液検査で肝臓などの数値をチェック。現在は安定していますが、気になることは主治医に相談しています」(愛知県 M.Oさん)
愛猫が発症して初めて知った病気3.子宮水腫
子宮水腫(しきゅうすいしゅ)は、子宮に水がたまり、腹部が膨らむ病気。症状が進行すると腹部が圧迫され、食欲低下などの症状が出ることもあります。避妊手術中に偶然発見されるケースもあり、早い段階で子宮と卵巣の摘出手術をすることで完治が望めます。
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・飼い主さんの体験談「ペットドック(健康診断)で発見」
「昨年4月、食欲が落ちていた愛猫。ちょうど、動物病院のペットドックの期間だったため受けられる検査すべてをお願いしました。
その結果、『子宮水腫』と『腎・尿管結石』が見つかりました。どちらも開腹手術をして処置をしたほうがいいという診断だったので、翌月まとめて処置を受けることに。子宮水腫は子宮を摘出することで完治し、現在はのんびりと過ごしています」(東京都 A.Tさん)
愛猫が発症して初めて知った病気4.十二指腸炎
十二指腸炎(じゅうにしちょうえん)とは、小腸の一部である十二指腸に炎症が起きている状態のこと。下痢やおう吐、体重減少などの症状が見られます。原因は膵炎などほかの病気、ウイルスや寄生虫の感染症、誤食などさまざま。治療は原因に応じて、療法食や投薬を中心に行います。
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飼い主さんの体験談「消化を助ける療法食を与え続けています」
「家に迎えて初めてのおう吐と、その後もぐったりしている様子に驚き、夜間救急動物病院へ。子猫なので、まず誤食を疑いましたが、レントゲン検査でその心配はないといわれて安堵。吐き気止めの注射をしてもらい、帰宅しました。
その後の検査で『十二指腸炎』の疑いがあると診断されました。ウンチがゆるくなることも多かったので、消化を助ける療法食に切り替え、現在も与え続けています」(東京都 M.Kさん)
愛猫が発症して初めて知った病気5.胃潰瘍
胃潰瘍(いかいよう)は、胃の内壁にある粘膜が傷つき、炎症を起こした状態のこと。猫の場合、腎臓病などの基礎疾患や、刺激物や胃酸過多が原因で発症することが多いでしょう。
主におう吐や食欲不振などの症状が見られるため、胃酸抑制剤などを投与して治療します。
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飼い主さんの体験談「新しい子猫を迎えて体調不良に……」
「新しい子猫を迎えて1週間が経ったころ、食欲旺盛の愛猫がフードを残すようになり、ふだん入らないハウスにこもっていました。これはおかしいと思って受診すると、子猫が来たストレスがきっかけで、『胃潰瘍』を発症したのではないかといわれました。
動物病院では点滴と、胃薬などを処方されて症状は改善。まさか猫も胃潰瘍になるとは思わず、配慮が足りなかったと反省しました」(大阪府 H.Tさん)
愛猫が発症して初めて知った病気6.高カルシウム血症
高カルシウム血症は、血液のカルシウムが増えすぎて、食欲不振やおう吐などの症状が見られる病気です。猫の場合、とくに明確な原因がない突発性が多いのが特徴ですが、腫瘍や腎臓病などの病気が原因で起こるケースも。
治療は低カルシウムの療法食や投薬が一般的。別の病気が原因の場合は、その治療が必要です。
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飼い主さんの体験談「腫瘍の可能性を指摘され診断に時間がかかりました」
「食欲がなく体重が3カ月で300g減少、それなのに元気なのはおかしいと思い、動物病院へ。血液検査の結果、カルシウム値が高いことが判明。腫瘍の可能性を指摘され、レントゲン検査なども受けましたが、そちらの線は薄いとのこと。数カ月後に『高カルシウム血症』と診断されました。
この病気は猫の場合、原因不明のことが多いそうで、療法食で経過観察することに。愛猫には、低カルシウムの体重管理用の療法食が処方されました。現在は体重も増え、血液検査もすべて正常値になっています」(東京都 S.Fさん)
飼い主さんが感じたちょっとした違和感から、意外な病気が見つかる場合もあります。日ごろから愛猫の健康状態を把握し、少しでもふだんと違うと感じることがあれば、動物病院を受診しましょう。
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お話を伺った先生/山本宗伸先生(獣医師 猫専門病院 Tokyo Cat Specialists院長 国際猫医学会ISFM所属)
参考/「ねこのきもち」2026年5月号『「よく聞く病」じゃないからこそ聞きたい、体験者の話。 愛猫が発症して初めて知った病気』
文/宮下早希
※記事と写真に関連性がない場合もあります。
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