「ねこネットワーク」は、ペットフードの寄付事業や高齢の飼い主さん支援など、幅広い活動をしています。それらの活動は、一見、共通点がないように感じますが、どれも“猫を支える人を手助けしたい”という思いから生まれたものです。目の前の課題を拾い上げ、新たな活動を起こしていく、ちょっとほかにはない団体です。今回は、活動の原点となったペットフードドライブや、能登半島地震の被災地支援について紹介します。
*記事内容はすべて2026年8月1日現在のものです。
「猫を支える人を支えたい」余ったペットフードを保護活動へ。「ねこネットワーク」の取り組み

猫のそばにいる人たちを支援する活動
「明日は1軒のお宅から10匹の猫をお預かりする予定があります。今、『ねこの多頭飼育崩壊予防支援プロジェクト』として、非課税世帯など動物病院の費用を負担するのが難しい飼い主さんに、去勢・避妊手術を無料で行っているんです」
そう話す、鈴木智恵さんが代表をつとめる「ねこネットワーク」は蕨市を拠点に、川口市や戸田市、さいたま市など埼玉県南部で活動しているNPO法人です。設立は2024年5月。「ペットフードドライブ」を皮切りに、経済的に苦しい世帯や高齢の飼い主さんの支援など、徐々に活動の幅を広げてきました。
「活動の目的は、人と猫がよりよい関係で共生できる社会をつくること。保護団体や地域猫活動のボランティアさん、飼い主さんなど、猫のそばにいる人を支えることで、人と猫がともに幸せに暮らせるよう活動しています」

キャットシッターの仕事が新たな展開を生んだ
鈴木さんが猫に関する活動を始めた背景には、15年以上にわたるキャットシッターとしての経験があります。キャットシッターとは、飼い主さんの留守中に家を訪問し、猫のお世話を代行する仕事です。
たくさんの猫と接する仕事をするうちに、鈴木さんは保護猫のことを知り、関心をもつようになりました。たびたび譲渡会へ足を運び、保護団体の活動を見聞きするうちに、「自分も何か力になれることはないか」と思うように。そして2022年、猫に関連する商品を扱う出店者を集め、保護活動の支援につながる「キャットラバーズマーケット」を初めて開催しました。
同じ頃、鈴木さんが胸の内で温めていたのが「ペットフードドライブ」のアイデアです。キャットシッターの依頼主から、「急に好みが変わって食べなくなった」「療法食やシニア食に切り替えた」「猫が亡くなった」などの理由で、使わなくなったフードを譲り受けることがあり、そのたびに地域の保護団体へ届けていました。そこから、家庭で余っているフードをもっとたくさん集め、保護活動する人たちへ届ける仕組みをつくれないかと考えたのです。

被災地支援を出発点に広がる活動の輪
鈴木さんが構想していた「ペットフードドライブ」。そのアイデアが実際の活動として動き出すこととなったきっかけは、2024年元日に発生した能登半島地震でした。
「ニュースを見て、いてもたってもいられなくなりました。私にとって、能登は以前から何度も訪れていた、大好きな土地だったんです。私に何ができるかを考えたとき、思い浮かんだのがペット用の支援物資を集めることでした」
現地でペットフードや物資が不足していることをSNSで知り、「今こそペットフードドライブを始めよう」と決意。すぐに蕨市の協力を得て、市民体育館や図書館、少しあとには市役所にも回収ボックスを設置しました。その活動は新聞やWEBニュースでも取り上げられ、徐々に反響が広まっていくことに。
「回収ボックスだけでなく、全国から物資が送られてくるようになりました。1月から6月まで行って、集まった物資は合計約1.4tです」


家庭で余っているペットフードを支援につなぐ仕組みをつくりました
その後も「ペットフードドライブ」は保護団体を支援する活動へ形を変えて継続しています。また、震災直後に任意団体として誕生した「ねこネットワーク」は、2024年5月にNPO法人となりました。
現在は、川口市の後援を受け、ショッピングモールやドラッグストア計5カ所のほか、さいたま市内の動物病院にペットフードの回収ボックスを常設。集まったフードや物資は、保護団体それぞれの要望に合わせて配布しています。
「回収ボックスは、公共施設に置かせてもらうこともありますし、イベントや譲渡会の会場にも設置しています。地域では少しずつ回収量が増え、認知度も上がってきたと感じています」
昨年度の回収量は約6.6t。活動開始から2年目にしてこの成果を上げられたのは、自治体との連携による回収ボックスの設置や、ペットフードメーカーの日本ヒルズ・コルゲートに相談し、活動への賛同とフード支援を得るなど、鈴木さんが各所と築いてきた協力関係の賜物ともいえます。目の前の課題を見過ごさず、アイデアを着実に行動へ移していく鈴木さんの姿勢が「ねこネットワーク」の活動を広げています。


出典/「ねこのきもち」2026年10月号『猫のために何ができるのだろうか』
取材/野中ゆみ
※この記事で使用している画像は2026年10月号『猫のために何ができるのだろうか』に掲載しているものです。