
デボンレックス
- 英語名
- Devon Rex
- 原産国
- イギリス
- 公認団体
- CFA・TICA・FIFe・GCCF
- 毛種
- 短毛種
大きな耳と印象的な目、そして細い体にさざ波のようにウェーブした短い被毛をもつデボンレックス。ユニークな姿と、子犬のように人なつっこい性格で人々から愛されています。そんなデボンレックスの特徴や性格、歴史やかかりやすい病気について、ご紹介します。
大きな耳と印象的な目、そして細い体にさざ波のようにウェーブした短い被毛をもつデボンレックス。ユニークな姿と、子犬のように人なつっこい性格で人々から愛されています。そんなデボンレックスの特徴や性格、歴史やかかりやすい病気について、ご紹介します。
丸みのある三角形の小さな顔に、頬のあたりから横に張り出す大きな耳、卵形で釣り上がりぎみの大きな目という、ユニークで印象的な顔立ちがデボン・レックスの魅力。また、被毛は柔らかく短いアンダーコート(下毛)のみで、さざ波のように細やかにウェーブしています。
こうした姿から、「妖精」、「道化師」、「プードル・キャット」などの愛称で呼ばれ、漫画や映画への登場も多く、人々から愛される猫です。
デボンレックスは活発で好奇心旺盛な性格で、ゆったりと座っていることはほとんどありません。また、とても人なつこく、飼い主のあとを追いかけ肩に飛び乗り、首の後ろに体を巻き付けて甘えたり、うれしいときはしっぽを振ったりする、子犬のような性格です。
細く筋肉質な体つきで、体重は2.5~4㎏ほど。顔は小さく、首は細長く、四肢も細長いのが特徴です。
体重:2.5~4kg
デボンレックスの短い被毛は、コーニッシュレックスの強い巻き毛とは異なり、細やかに波打っています。作出に広範囲にわたる異種交配が行われたため、デボンレックスにはホワイト、ブルーなどのソリッドカラー、各色のタビーやバイカラー、キャリコやポイントカラーなど、その他すべての毛色とパターンがあります。また、ときに長毛の個体が誕生することがあります。
なお、デボンレックスの被毛は人にアレルギーを起こさせないといわれることがありますが、確実ではありません。
・皮脂が分泌される部位にかゆみや発疹が出る「脂漏性皮膚炎」
・アレルギーや感染が原因でかゆみや発疹が出る「蕁麻疹」
・血がなかなか止まらなくなる「血液凝固障害」
・神経と筋肉の接合部に問題が起こり、筋力の低下をきたす「先天性筋無力症」
・心臓の壁が厚くなり、血栓ができて詰まる恐れがある「肥大性心筋症」
・遺伝的な理由で膝のお皿がずれてしまう「膝蓋骨脱臼」
・胎内の子猫をスムーズに分娩できない「難産」
・親猫との血液型の不適合が原因で起こる「新生児溶血」
デボンレックスは一般的に入手が難しく、輸入や専門ブリーダーからや、保護猫譲渡がおもな入手方法です。
人なつっこく、活発で遊び好きなデボンレックス。スキンシップが好きな人、一緒にいる時間を積極的に作ってあげられる人、楽しい遊びに付き合ってあげられる人などが向いているでしょう。
猫の健康のためにも、屋内飼育がおすすめです。猫は基本的に薄明薄暮性の動物で、日中は寝て過ごすことが多いため、安心して寝られるスペースを用意してあげましょう。
また、猫は上下運動を好むので、猫タワーを設置したり、上っても大丈夫な場所を部屋に作ってあげたりするといいですね。
デボンレックスは活動的で好奇心旺盛なので、留守番させるときは、入って欲しくない場所には行けないよう制限し、誤食につながるような細かいものなどは片付けておきましょう。
主食には、フードと水のみで栄養のバランスがとれるように作られている、総合栄養食を与えましょう。一般食は、栄養バランスよりも食いつきを重視しているため、主食には不向きです。フードのパッケージの裏に総合栄養食と記載されているものを選んで。
猫は、成長や年齢ごとに必要とされる各栄養素の量が異なります。「子猫用」「成猫用」「シニア猫用」「体重管理用」など、年齢と目的に応じたフードを与えましょう。
また、猫はもともと飲水量が少なくても生きていける体の構造ですが、そのぶん、結石症や腎臓病にかかりやすいので、なるべく水分を摂らせるよう注意しましょう。
デボンレックスは活発で人なつっこく、人とのコミュニケーションが大好き。お気に入りのおもちゃを使うなどして、1日に最低でも5~10分以上は集中して遊んであげましょう。
また、猫は高いところに上る習性があり、屋内という限られた空間でも、立体的な上下運動をさせるようにしましょう。猫ができるだけ自由に活動できるよう、猫タワーを置く、タンスや棚をうまく配置して高いところに行けるようにするなどの工夫を。
獣毛ブラシで、やさしくマッサージをするようにブラッシングを。被毛は短く少ないので、頻繁に行う必要はありませんが、飼い主さんとのコミュニケーションが大好きなデボンレックスには、ごほうび代わりにブラッシングを行うのもよいでしょう。
また、皮脂が多く分泌されるため皮膚病にかかりやすいので、ブラッシングをしながら、皮膚に異変がないかをしっかりチェックして、月に1回はシャンプーをしてあげましょう。
1960年、イギリス・デボンシアの古い炭鉱の近くで、1匹の縮れ毛のオス猫が保護されました。発見者のコック夫人が、この猫と飼っていた三毛の家庭猫を交配させると、父親と同じ縮れ毛のオスが生まれ、「カーリー」と名付けられました。
当時、同じイギリス内のコーンウォールでは、10年ほど前に発見された縮れ毛のコーニッシュレックスの繁殖が盛んでした。そのため夫人は、カーリーと数匹のコーニッシュレックスを交配しますが、この2つの猫種は、同じ縮れ毛でも異なる潜性遺伝因子を持っていたため、生まれてきた子猫はすべて直毛でした。
その後、フランスやオランダのブリーダーたちと協力しながら健康な子猫の繁殖が進められます。この努力がデボンレックスを大きく発展させました。
アメリカには1968年に輸入され、1979年にCFAにより公認されました。現在、アメリカン・ショートヘアおよびブリティッシュ・ショートヘアとの異種交配が認められています。
監修: 高野八重子先生(ヤマザキ動物専門学校)
参考:『猫の教科書』(緑書房)
写真選定協力:石原さくら
猫写真家として、「ねこのきもち」表紙他多数で活躍するほか、メディアの出演・講演も多数。著書・共著に「てらねこ 毎日が幸せになる お寺と猫の連れ添い方」(KADOKAWA)、「かわいいかわいい ねこのかぶりもの」(パルコ)など。愛玩動物飼養管理士1級。A級キャットグルーマー。デボンレックスとシンガプーラのブリーディングの経験もあり、猫の品種についての造詣も深い
※猫の性格や特徴には個体差がありますので、あくまで目安としてください。
※猫種の起源や歴史については諸説あります。